FREAKS NO.04

YITUO
ZHANG

半導体の超精密加工には、
“ダイヤモンド”が不可欠。

VOICE OF FREAKS

INTERVIEW

旭ダイヤモンド工業株式会社

張 一拓

融合科学研究科 ナノサイエンス専攻修了

2015年入社

生産技術部生産技術課に所属し、海外の半導体メーカーに向けて
ダイヤモンドを使った産業用工具を企画提案する技術営業に取り組んでいる。

01.

「チョコチップクッキー」で挑む、
ナノレベルの世界

「どうやって動いているのだろう?」 小さい頃から、私はいろんなものの仕組みに興味がありました。時計やパソコンをバラしては中身を確認したり……自分の想像が間違っていても、正しくても、その一連の作業が最高に楽しかった。そんな体験が、今の仕事の根底にあるのかもしれません。私が今挑んでいるのは、硬くて強い物質であるダイヤモンドを使ってシリコンウェーハを磨く工具を提供する仕事。より高い精度で磨くために、どんな仕組みが必要かを日々模索しています。

工具の構造を例えるなら「チョコチップクッキー」のようなもの。樹脂やガラス、金属といった「クッキー生地」の上に、粉末状の工業用ダイヤモンドを「チョコチップ」のようにちりばめたものをホイール状にし、それを回転させてウェーハの表面を研削していくのです。「クッキー生地」にどんな素材を採用するか、あるいは「チョコチップ」をどういう大きさにするかによって、工具の研削性能はまるで変わってきます。私たちに要求されているのは、ウェーハ表面の凸凹を1ナノ(1,000,000分の1ミリ)の単位で調整する技術。しかも半導体の表面には硬さが違う様々な物質が載っていて、それを同時に削らなければならないという、かなり難易度が高い工程に用いられる技術です。時には理論通りではない想定外の現象が起きることもあり、決して一筋縄ではいきませんが、だからこそ面白いと感じています。

02.

02.

世の中の無駄も「削って」、
便利で快適な未来を

私は現在、技術営業としてダイヤモンド工具のユーザーである海外の半導体メーカーのもとに赴き、最適な製品を企画提案する仕事を担っています。中国や台湾、シンガポール、マレーシアなどの国々を飛び回り、「こんな性質のウェーハを効率よく削りたい」「こんな状況で使える工具を探している」というような要望を受けて、社内の技術開発部門と連携しながら試作と検証を繰り返していく。半導体の小型化と性能向上という急速な進歩に伴って、求められる技術レベルも年々高まってきている中で、すぐには答えが思い浮かばないようなオーダーを受け取ることもあります。そういったオーダーに対して、会社の仲間たちと苦労の末に解を見つけて、お客様の期待に応えていく。それができた時はとても興奮するし、やりがいを感じられる瞬間ですね。

こうして半導体の進化に貢献して、個人的には「顔パス」の社会を実現したいですね。最近、顔認証技術が注目されていますが、そこに使われるカメラやセンサーには高度な半導体が必要であり、それを作り出す上で私たちの技術は欠かせません。顔認証技術が普及し、買い物をする時などすべて顔パスで決済できるようになれば、余計なストレスから解放されて本当に便利になる。もちろん決済以外にも、テクノロジーの発展によって省略できる手間は世の中にたくさんあると思っています。私たちが得意な「削る」技術で、世の中から不必要なものをどんどん「削って」、人々が快適に暮らせる社会を実現したいですね。

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