大手を狙える学生にこそ伝えたいこと―就活指南―

2021/12/27
ブログイメージ技術は翼 大手を狙える学生にこそ伝えたいこと ―就活指南―

このコラムを読んでいるということは、就活感度がかなり高いとえるだろう。きっと、5GやCASE、半導体不足などのキーワードからSEMI FREAKSにたどり着いたのだと想像する。
当然、就活感度が高く視野を広げているということはそうでない学生に比べて一歩リードしていることになるので、大手企業や有名企業も狙える可能性もある。
そんな優秀層の学生にこそ、注意してほしいことをこのコラムでは伝えようと思う。

はじめに断っておくと、なにも大手に行かないほうが良いというメッセージをするコラムではない。もちろん、大手には大手の魅力がありその会社でしかできないこともある。 重要なのは、「なぜ大手を志望するか」が明確になっているかどうかだ。他を知らないという理由で「大手にする」というのは逆説的に「大手しか選ぶことができない」ということだ。

就職活動と投資は似ている

就職活動はよく結婚や恋人選びに例えられることがある。「相性が重要」、「人生のパートナー」という意味合いで紐づけられるキーワードなのだろう。もちろん、相性は重要だし、「良い就職」は「自分自身と相性の良い企業」に入社することだ。ここでいう相性のポイントは就職活動の「軸」や「こだわり」という言葉で表現され、具体的には技術、製品、諸条件などが挙げられる。

もう一つ、就職活動と似ているものに投資があると思う。
「今」という時間を使い、情報収集・検討し、「これまで」の学びや経験を、自分自身の「未来」に投資をして、何らかのメリットを得ようとする。そのために企業分析をして将来の予測も立てる。このようなことから投資を連想するが、このニュアンス以上のこともつい考えてしまう。

プロの投資家が株式を購入するのは当然、経済的なメリットを得るためだ。
その際、重要になるのは「上がる株」を見つけ出すことで、この行動原理では「真に実力がある企業」ではなく「多くの人が期待して値上がりする企業」の株式に投資することになる。
重要なのは、これは投資家の期待によって左右されるものだから、自分自身の考えとは一致しない場合もあるということだ。
「投機的バブル」という用語があるように、ある瞬間に人々が実態に気づき市場が崩壊することさえある。

就職活動をすると、必ず「大手企業」や「有名企業」を意識するタイミングが来ると思う。もちろん、このような企業にしかない強みや魅力はあるが、それが自分自身の求めていることと一致するとは限らない。

冒頭にも書いたように、今、このコラムを読んでいる皆さんには、大手を狙える資質が備わっていることだろう。だからこそ、「皆が良いと思う企業」ではなく「自分自身にとっていい企業」を探してみてほしい。
入社した後に「こんなはずではなかった」と気づくのはとても勿体ないことだから。

図1

自分自身の「一番」を見つけるために必要なことは?

とにかく「自己分析」を進めてほしい。この時、重要なのは「就職活動と関係なく自分自身のことを考える」ということだ。 これもしばしば陥りがちなことだが、就職活動を進めていると気づかないうちに「内定をもらうこと」がゴールだと勘違いしてしまうことがある。内定取得、あるいは入社は社会人人生のスタートだ。生まれてから今までよりも社会人として過ごす時間のほうがはるかに長い。

もちろん、多様な価値観があることは承知しているが、多くの人にとって「働くこと」は「生きること」や「自己実現」の手段だと思う。だからこそ、大元の人生設計とそれに必要なものはなにか、という観点で自己分析を進めてみよう。

自己分析を通じて、自分にとって「一番」がイメージできたら、次は条件に当てはまる企業を探さなければならない。当然、選ぶ先は多ければ多いほど良い。 ここで意識したいのは、「知らない企業は条件が悪い」という先入観を取り除くことだ。SEMI FREAKSにたどり着く学生ならそこまで心配はないだろうが、一般的な知名度の有無と「真に良い会社」かどうかは全く関係ない。今までよりも視野を広げる意識を強く持とう。

そもそも、「やりたいことが実現できる会社」は学生のイメージとは異なる場合も多くある。例えば、理系学生から人気の高い自動車業界を志望するとする。今一度考えたいのは「なぜ、自動車業界を志望するか」だ。自動車が好きでそれに携わりたいというのであれば、そのまま志望するのが良いと思う。しかし仮に「自動車の“性能”の向上をしたい」や「自動車の“自動運転技術”に携わりたい」、「自動車の“燃費性能”を向上させたい」という想いから自動車業界を志望するのであれば、志望先に半導体をはじめとするエレクトロニクス業界も視野に入れるべきだ。
自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えている。既に多くの学生が知っているように、メカ的な機構はある程度成熟し、これからは搭載するエレクトロニクス技術が自動車をつくると言われているからだ。

福利厚生などわかりやすい条件は当然企業間で比較検討しやすい。しかし、技術力や働き方、社風、理系の知識の活かし方、理系としてのキャリアなどは見えづらいことが多く、比較の前段階の情報収集でも苦戦しがちだ。(そもそも、BtoB企業は探しづらいということもあるが) そんな時は、SEMI FREAKSを活用しよう。例えば、業界社員座談会では、半導体関連企業での職種や働き方、理系の知識の活かし方などについて、現役で活躍しているエンジニア(テーマによっては人事)が詳しく話している。

知らないことは選べないことだ。
主体的に「選ぶ就職活動」をするために、自身の方針も明確にして視野を広げてみてほしい。