FREAKS NO.05

TAKAHIRO
KANAI

未来の半導体に必要なのは、
究極の洗浄技術。

VOICE OF FREAKS

INTERVIEW

芝浦メカトロニクス株式会社

金井 隆宏

理工学研究科 工業化学専攻修了

2012年入社

技術本部 研究開発グループに所属し、半導体を製造する上で欠かせない
シリコンウェーハ洗浄装置の研究開発に取り組んでいる。

01.

化学反応を利用して、
ナノレベルのゴミを取り除く

幼い頃、割りばしにプラスチック筒と輪ゴムを組み合わせて、「モーター」を作って遊んでいたのをよく覚えています。「これとこれを組み合わせると、こんなものになる」という、組み合わせで新しいものを生み出すことの面白さに刺激を感じていました。そんな背景もあってか、原子や分子という目に見えないものの組み合わせから何かを生み出す「化学」には特別な魅力を感じ続けています。私の仕事は、半導体の材料となるシリコンウェーハを洗浄する装置の研究開発。半導体はウェーハ上に精密な回路を形成するのですが、そこに“パーティクル”と呼ばれる微細なゴミがついていると回路が断線してしまいます。そうしたパーティクルを物理的、そして化学的なアプローチで除去していくのが、私たちの作る装置の役割です。

パーティクルは目に見えないほど微細です。ただ水で洗い流せば取れるというシロモノではなく、超音波やブラシを用いた物理的なアプローチや、特殊な薬剤を用いた化学的なアプローチが必要になります。目に見えない世界を自分の頭の中でイメージし、どんな化学反応を起こせばパーティクルを分離できるのかをシミュレーション。何度も仮説・検証を繰り返し、解決策を探ります。お客様から寄せられる「ナノレベルまで完全に洗浄してほしい」という高度な要求に対して、研究開発チームの仲間と議論しながら打ち手を探るのですが、その打ち手が見事にハマって実現できた時は本当にうれしい。まさにそれが研究開発の醍醐味であり、そんな興奮を何度も味わいたいから、どんなに難しいお客様のオーダーにも立ち向かえるのです。

02.

02.

半導体を進化させて、
誰もが健康に暮らせる社会を

研究室にいて実験と検証を繰り返すだけではないというのも、この仕事の面白いポイントの1つです。自分が開発したウェーハ洗浄装置を設置するためにお客様の工場に赴き、きちんとその環境でも性能を満たしているかどうかまで評価することもあります。そこでしっかりと結果を出すと、お客様から「金井さん、また新しい装置を導入する時もぜひお願いしますね」と名指しで頼っていただけることがたびたびあります。実験をして新しいものを生み出せた時とは、一味違った仕事のやりがいを感じられる瞬間ですね。

半導体の微細化にともない、我々に要求される洗浄レベルもますます上がっています。従来の方法では除去するのが難しい超微細なパーティクルもまだまだ存在しており、これらを除去するための技術革新が必要です。我々が技術を発展させ、半導体をより進化させることで、世の中がより良く変わってほしい。個人的に期待しているのは「医療」の分野です。超高齢社会となった日本では、人々の健康を守っていくことが大きなテーマになります。半導体が進化すれば、センサーとAIで人の身体の状態を常に監視し、怪我や病気も予知できるようになるかもしれない。お年寄りが無理をして病院に行かずとも、遠隔で医者のしっかりとした診察を受けられるようになるかもしれない。もしかすると高齢の方に対してだけではなく、私が過去に経験した野球での深刻な怪我なんかも、予知できるようになるのかも…なんて思ったりして。私自身も、周囲の人達も、誰もが健康的に暮らせる豊かな社会を実現できたら嬉しいです。

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